先日の講義で東芝のEmotion Engine作った人(けいおー→おっくすふぉーどらしい)が来たのでリンクしてみます．
いわずとしれたPS2の中核を成すチップ．当時の東芝の持てるだけの技術力を投入して作られた(と勝手に僕が思ってる)チップであり，旧世代のPSの100倍の性能を目指して設計された．

チップサイズ:15.02mm * 15.04mm
動作クロック:300MHz
Tr数:13.5M
プロセス:0.25um CMOS
(製造開始時のスペックなのでリンク先とは異なります．現在では90nmのプロセスで90mm^2にEE+GSが入ります)

クロック周波数を前世代の10倍，並列度を10倍に高め，トータルでPSの100倍の性能を実現した．4並列のfMACからなるVector Unitは300MHz動作時に透視変換のスループット性能7clkを実現(VUは2つ搭載されている．他にもfMACがあるのでEE内に計10個のfMACがあるようだ)．15mm角のチップサイズも当時の露光技術の限界であり，あらゆる点で本当に当時の最高技術の結晶だった，んだって(全部伝聞形，なのを若干脚色．てか製造レベルの話は全然分からん)．今でこそGPUなんてものが当たり前になってしまい，ありふれたアーキと言えるEEですが，5年前の設計のチップが現役で活躍している事を考えると，やっぱEEは，PS2は凄かった，ということでしょう．

開発体制はピーク時で100人．殆どの人がRTレベル以上の設計と検証とのこと．デジタル回路にはレイアウト職人は要らないのか？しかし検証はやはり大変なようだ．それこそ今でかい企画を起こしたら作業の7割以上を検証に費やすんでしょうねえ．CELLとかどうなんだろ．聞けば良かった．
んで，こういうのって人年2000万かかるそうです．100人を1年間ドライブしたら20億ですか．すげー．ていうかそれだけ金を出すSONYがすげー．

ちなみにその前は某社のデジカメ関連の人だった．一言でいうと「デジカメって電池2本だから消費電力4Wとして，内3Wは液晶が食っちゃうんだよー，だからシステムLSIの消費電力は1W以下にしなくちゃいけない．その上に画素数上がりまくりーの動画も取りたい．全部しわ寄せはシステムLSIですよ．やってられるかこの野郎．毎日がいっぱいいっぱい」みたいな話でした(これは俺流要約ですので脚色しまくりです．ご了承ください)．

例えば，DoCoMoのFOMAなんかだとWCDMAっていう方式が取られているいるわけですが，こいつは第2世代のPDCなんて奴と比べると計算の複雑さなんかが10倍とかになるらしいです．つまり単純に考えてベースバンドの消費電力が10倍，待ち受け時間1/10．バッテリー技術の向上もあるけどそれ以上にやることは増えているわけです．じゃあそのしわ寄せはというと，やっぱりシステムLSIにくるわけです．最近の900iなんかの待ち受け時間の伸びなんて見ると泣けてきますよね．それだけ血尿出しながら頑張っているLSI技術者(やバッテリー関係の技術者)が居るわけですよ(血尿は僕の勝手な妄想ですが)．

それなのに！それなのに！
www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0402/06/news015.html より
Flash対応になったことから、iモードのiMenu画面はFlash表示に変わった。メニューリストの最上段のアイコンもFlashになり、区切り線にもGIF画像が使われている。

いやいや，何がFlashですか．何が区切り線にGIF画像ですか．
「俺はFlashなんかのために，GIFをメニューに使うなんてことのために残業して血尿して頑張ったのかー！？」というエンジニアの魂の叫びが聞こえてきそうです(血尿は勝手な妄想ですが)．まじで報われない．僕まで血尿になりそうです．
いや，結局売れれば勝ちだし，メニューとかってアプリケーションプロセッサの役割なんで待ち受けとはあまり関係ないし，突き詰めていくとこのPCもネットもwwwサーバもこのような駄文を打ち込んで世界に公開するため(だけじゃないけど)にあるって考えると，あらゆるものがもの凄く無駄な感じがしてどうしようもないですが，それはともかくエンジニアって何だろう．って思った．

あ，けど，携帯は買い換えたいです(おい)．