2002/09/10 - virt fx 2.0 における Mod Player考

Mod Plug で正常に再生できない!?


virt 氏のコナミ風chip tuneのmusic disk fx 2.0がこの前公開されました．それでmodpの作者としてはmodpを使って原盤のS3Mで聴いていたわけですが，ふとドキュメントをみたらビックリ．

please either listen in impulse tracker or xmplay, or download the mp3s from my
site or wherever you got this zip. modplug and winamp butcher the tunes, ranging
from not playing at all to missing the noise channel to messed up note bends. if
you listen in a mod player the chances are good you're not hearing it correctly,
and it may sound awful.
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(要約)
impulse tracker か xmplay もしくは mp3 をダウンロードして聴いてください．
mod plug や winamp は曲を無茶苦茶にしてしまいます．ノイズチャンネルが全く鳴らなかったり，
ノートベンドが汚くなります．mod playerで聴く場合，正確に演奏されておらず不快な音を出して
いる可能性があります．

なんて書いてあるではないですか．
xmplayは名前の通り XM の再生に関しては定評がありますが，S3M の再現性に特に秀でているという話は聞いた事がありません．しかしこの話が事実ならS3Mの再現性に関してもmod plug以上ということです．(と書くとxmに関してはmodplugよりxmplayが優れているみたいですが，詳しいことは知りません)

winampの標準で付いてくるmod decoder の再現性が低すぎるのは常識なので置いといて，xmplay と modplug を比較してみるのは面白いかもしれません．比較といっても xmplay のソースは持っていないので，modp でもお世話になっている modplug が何故 fx2.0 を再現できないかを検証してみることにします．まあ modp で fx2.0 を聴けるようにしたいだけなんですけどね．



聞き比べてみる


ではgradius風の v-option.s3m を聞き比べてみます．



mp3 in winamp	mono211.com にアップされている mp3 を winamp(+mpg123 decoder) で再生した．他と比べるとノイズが鮮やかで矩形波等の音もアタックがクッキリしている．全体的に音が尖っていてノイジー．
s3m in xmplay (線形補間)	基本的にmp3と同じだが，音のアタックがmp3と比べて鋭くない．ノイズの音も微妙に違う．
s3m in modplug (線形補間,他のAGC等の効果は全OFF)	確かにノイズチャンネルが全く鳴っていない．そのためか曲全体が寂しい．


音を評価しようとするとどうしても抽象的な表現だらけになってしまって，結局人の好みという話もあるのですが，明らかに modplug の再生はおかしいです．(つまり modp も)

本来ならIT 2.14の出力と比べなくてはならないのですが，残念ながら DOS 環境がないので諦めて mp3 を原曲と考えて話を進めます．
まず，不思議なのは高周波成分の情報を多くカットする mp3 の方がノイズが鮮やかに聞こえる点です．それに音のアタックの音圧(と言って良いのかは知らないけど)もmp3の方が強くてchiptune的に好感が持てます．

アタックに関しては，modplug や xmplay が ramping をサポートしているからだと思われます．ramping は音と音のつながりが非連続になって，プチノイズが発生するのを抑制するために 既になっている音をフェートアウトさせつつノートオンさせる技術です(modplug で voice 数を見ていると 4ch mod なのに 5 voice 使ってたりするのを見かけるのはそのためです)．実際，素直な実装の古いプレイヤではそんなものはサポートされていないのでヘッドフォン等で聴いているとノイズが気になります．で，きっと IT もrampingをサポートしていないので音の切り替わりが気持ちいいのかもしれません．矩形波やノイズ等の場合はもともと非連続な波形ですから，rampingは蛇足というわけです．

ノイズがmp3の方が鮮やかな気がする理由はわかりません．ITの仕様に起因するのかも．

で，問題は modplug でノイズが全くならないことです．大体，世界標準のmodplugで正常にならないmodってのはかなり珍しいです．しかも丸ごとチャンネルが鳴っていないなんて聞いた事がない．
試しに，MikModやKamikaze305(ハハハ)で演奏してもノイズは鳴ってたので，xmplayの再現性が良いというよりは modplug だけが何かおかしいようです．



データを調べてみる


てことでどんなデータなのか ModPlug Tracker で見てみると，ch.4の音が鳴っていません．もっと正確に言うとch.4では主にsample.6を鳴らしているので，それが鳴っていないことになります．どうやらノイズの Sample の設定が怪しい．



ch.4でsample.6が全く鳴らない の図

sample.6を見てみると，単なるホワイトノイズです．試しに Play Sample ボタンを押すとちゃんと再生できます．けど曲中だと何も音が出ないのです...
何故に？



疑惑のsample.6の波形 の図

このサンプルの特徴といえば，基本周波数が132108Hzになるように設定されている点でしょう．えらく高い周波数です．普通に考えたらまともに音が鳴りませんが，なるほど，PCMの中からランダムに値をピックアップするような感じにしてよりノイズらしくさせているのでしょう．

あ，もしかして高すぎる周波数は modplug のmixerが対応していないのか？そんなヘボいことはないとは思いますが，その可能性も含めてデバッグしてみることにしてみました．sample.6だけがひたすら鳴るs3mを作ってmodpでdebugしてみます．

次の瞬間とんでもないことが！！(続きはCMの後)
すると意外な事実が！



意外な真相


音が出ない原因を追って辿り着いたのはここ．

sndmix.cpp
---
// Final Period
if (period <= m_nMinPeriod)
{
    if (m_nType & MOD_TYPE_S3M) pChn->nLength = 0;
    period = m_nMinPeriod;
}

period(周期．周波数の逆数と思っとけばOK)が m_nMinPeriod 以下になると S3M の場合は消音してしまうのです．つまり，S3M だけは高すぎる周波数が再生できないことになっているのです．このm_nMinPeriodは参考までに



MOD	S3M	XM	IT	STM	MTM	669	他
56	64	27	8	64	64	112	64


と設定されているようです．こういうデータを見ると分かりますが，modplugは細かいところまで再現性を追求しています．「他」の部分はともかく，MOD/S3M/XM/ITといった主要フォーマットに関してはきちんと調べて設定しているのでしょう．同様に「S3Mの場合消音する」という処理もそういった事実があるからこそ，わざわざやっているのでしょう．(ちなみに特定のフォーマットに対する例外処理は他にも沢山ある)
さて，その部分をコメントアウトするとちゃんと modplug でもノイズチャンネルが鳴るようになります．ていうか，ModPlugTracker でS3MをITとして保存しなおしてやれば，xmplayと殆ど変わらず再生できます(むしろ，xmplayではテンポが変になるv-bogey.s3mがちゃんと再生できる．それでもmp3と比べるとまだ違うけど...)．

この事を踏まえると，modplug は再現性が xmplay に比べて劣るというのは疑問です．むしろ modplug のソースを見ていると 本物のScream Tracker 3 でもノイズは鳴らないのではないか？と予想できます．残念ながら試す環境がないので謎ですけど...(勿論modplugのバグなのかもしれない)

結局のところ，modplug は本家 Scream Tracker 3 で作られたS3Mの再現を重視しているわけで，罪はないのではないか？と考えられます．反対に xmplay や MikMod は Impulse Tracker で作られた S3M に準拠していることになります(消音に関しては，ですけど)．単純にどっちの再現性が良い，とは言えなさそうです．



結論


結論から言うと誰も悪くなかった．ということでしょうか．
それを踏まえてあえて言うなら「再現性を保つためにも Impulse Tracker で作ったなら .IT で保存しましょう」ってことかな．
けど，virt氏は「次はMCKでNESかNSF形式でmusic diskを出すぞ！」と意気込んでおられるようなので，もう関係ないかも．確かにFM音源までのゲームミュージックはMMLで書くのが一番なのかもしれない．
とはいえ個人的には気合のmodでこれからもやってほしいなあ．と思う秋の朝方．こんなんで徹夜かよ!!



書き忘れましたが，ノートベンドに関する問題も似たような事だと思います．きっと．
あと，modp としてはわざわざ消音するところまで拘る必要はないので，次リリースではxmplay程度の再生ができるようにしておきます

2002/03/21 - オーディオと花見とYahoo!BB

あまりにも更新更新しなさ過ぎだった．
という理由で普段ならindex.htmlに書くべき単なる日記をここに書こう．

一週間ほど前の3/15にネットに急に繋がらなくなる事件発生．
その日は妙にスループットが低くて，ネットラジオもまともに聴けないばかりか，AoCをやろうとしたらpingが5000とか平気で出てくる悲惨な状態だった．
そこで最近モデムの電源付けっぱなしだし，PCも起動しっぱなしだったからここはひとつ再起動じゃ！
と奮起してPCとモデムをリブートしたんですが，そうしたら何故かそれ以降Y!BBモデムはWLKを点滅しっ放しになりやがって，思わずディスプレイに飛び蹴り食らわした後本体にバックドロップをかましてさらにY!BBモデムを金属バットで叩き壊した... わけないけど，どう足掻いても繋がらない．これはやばい．
Y!BBのモデムのマニュアル見ても連絡先がメールアドレスしか書いてなくて，メールが送れてなくて困っているのに何故電話番号が書いてないのだ...？　と途方に暮れて仕方ないので，明日になれば繋がるやろ，と根拠がない納得をしてAoCを諦めトゥナイト２を見て寝る．

翌日．
やっぱ繋がらない．
やばい，暇すぎる．
いや，本当にやばいのはネットに繋がらないと暇すぎる僕の春休みじゃん．という気もしますが，それは気にせずまた不毛にいろいろ試しますが，全て玉砕．
仕方ないので，P100でメモリを16MB積んでるかすら怪しいノートPCでまだ契約が切れていないmiraiネットへ33.6kbpsで接続．
そしてybbへ「なんか繋がらないよぉ(;´д⊂ モデム壊れたかも」と送信．

翌日，やっぱ繋がらない．しかも暇．
と思ったら暇になれば不思議と用事ができるもので，久しぶりに地元に帰ってきた友達とカラオケにでも行くことに．
せっかくだから懐かしい中学時代の面々を呼ぼうと4人ほどに連絡したら4人中4人が用事があるらしく，しかも4人中2人に「行くー！と言いたいところだけど，ごめん，今東京にいるんだわ」とか言われて，無性に「おまえらは本当に東京に行きたかったんかと問いたい．問い詰めたい．小１時間問い詰めたい．単に東京に居るって言いたいだけちゃうのかと．」とコピペしたくなって，けどそんな事したら嫌われそうだから鬱になって酒を飲む．

他にも朝10時から酒を飲んでて，何を間違ったのか食べに行くより作った方が安いとか言い出して，酔っ払って2人で5人分くらいの得体の知れない野菜ラーメンをデカイ鍋一杯に作ってしまい(2000円かかった．酔ってスーパーに行くと浪費するという事を学習)，酷い目にあってみたりして気づいた．
ここのドメインの管理者Don(卒業おめでとう)からtannoyの古いスピーカを譲ってもらうことを．
で，車がない僕はその暇な友達(H)に，明日岐阜のDon邸まで輸送してもらうことにした．
しかしせっかく遠出するのです，ただ往復するだけではつまらない．そうだ，花見をしよう！と極めて合理的な発想をする．Donも快諾してくれて(僕の脳内では)，OTKとその連れ(T氏とする)とK-ENが集まることに．
その時点で友人Hが不要になった気がするが，気にしてはいけない．

翌日．
ということで，自分以外は全てオーディオマニア(Hは帰ったが)という状態で，Don邸にOTKが徐に持ち込んだものは「鍋型真空管アンプ」．
ちなみに前は「白い恋人ブリキ缶真空管アンプ」だったので，ロマンチックさは無くなりましたが，ビジュアル面で五木寛→氷川キヨシ並の大幅なパワーアップです(いや，中身も変わってるだろうけど)．
で，689円の安鍋からAC100Vの電源ケーブルが生えていてトランスの部分がもっこりしているその怪しげな鍋の蓋に，ソ連製(Sovitekだったかな?)の真空管を2本挿してDreamCastの出力を鍋に繋げると暫くするとスピーカから音が！
でかいスピーカをドライブするのは苦しいらしく大音量は無理ですが，鍋と真空管とDreamCastとtannoyが生み出すハーモニーはなかなかのものでした．
その後Donが新調した「SHARPの1bitアンプ(正確にはコンポ)＋tannoyのスピーカ(Revolution？よく分からん)」という2chお勧めの組み合わせを試聴．
ちなみにT氏もそれを買おうと考えていたんだそうだ．皆２ちゃんねらーですか．Donに至っては1日2スレ立てるのが日課で，痛い自作自演が趣味で，日常生活でも歯ブラシを買うだけなのに2chをフル活用しないと気が済まないらしいですから．かなりハードコアで手遅れな2ch依存病の末期患者です，
それはどうでもいいとして，流石に鍋とは音が違う．鍋とスッポンというか(それじゃあどっちもダメか)，とにかく違う．ただ，1bitが本当に凄いのかはよく分かりませんでした(ぉ
自作王K-ENが持ってきた自作小型スピーカはそのサイズからは想像できないようないい音を出してました．
みんな凄すぎです．

そんな感じでだらだらしてたんですが，結局の花見はどうなったかというとサッパリ桜が咲いていなかったので，Donの部屋でまったり飲んでました．誰だよ，花見しようとか言い出した奴は...
そうそう，ようやく生Rezを見ましたよ(遅すぎ)．こういうのをdemo sceneでdemoとして作って欲しかった．壊れたPSしかゲーム機持って無いし，ゲーム苦手だし，金無いので(救いようが無いな...)．
夕飯は何故かスパゲッティとサラダをDon母にご馳走になってしまい，僕ら凄い迷惑な先輩だな....と罪悪感を感じつつ感謝しつつ21時頃にようやく発つ．お世話になりました．

そして，譲り受けたスピーカとアンプ等と共に自宅までotk車で行く．
僕の部屋は猛烈に汚く，もしT氏が潔癖症だとショック死する恐れがあったため見られたくなかったんですが上がってもらって，スピーカ周りのセッティングをしてもらう．ありがとう．前使っていたコンポのスピーカはリア行き．26連想CDチェンジャのくせにCDPの部分が逝かれているMDコンポ本体は左遷することにする．
てことで，劇的にオーディオ環境が良くなった．
けど，tannoyのE-10というのはいまいち低音が出ませんな．リアに回したパイオニアのコンポ付属のは下品な重低音が出せたので少しそこは不満，サブウーハが欲しいところ．
といってもクラブサウンド以外はそんな低音要らないので，普通に聞く分には問題なし． (*1)

と新しい環境に少し感動して「そういや，ybb繋がらないんだよなあ，このファッキンybbめ」とybbモデムの電源を入れたら何故か無事接続．な，なんだ！？
オーディオ環境を変えるとybbに繋がる！？新しい発見です．
何がいけなかったんだ．ここまで来るとカオスというか風水の世界ですがな．
帰り際にT氏がX68000の筐体でPCを組みたいというので，ガレッガーな先輩から譲り受けた壊れたACE-HDを進呈．第2の人生を歩むことになったX68に幸あれ(中身は捨てられるだろうけど)．

その夜は久しぶりにIRCに出てAoCをして，みんな1週間で妙に強くなっててボコられて(特にukiがやべえ)，光化したLazieさんに「MXで相手に無理矢理UL開始させちゃうツール」と見せかけて実は「ウイルス」な実行ファイルを送りつけられたり，なかなか悲惨でした．じゃなくて面白かったです．
ちなみにそのウイルスはHybrisという奴で，wsock32.dllに感染して手当たり次第にメールを送りまくるんだそうです．しかも機能がalt.comp.virus newsgroupからプラグインでアップデートするという手の込んだ仕様．こんなすげえウイルスが存在していたなんて感動です．
ただ，NT系には感染しないのが残念．NTだとwindowsフォルダ以下のファイルは基本的に書き換えられないからか．9x系がアホすぎという話もありますが．自力でRING0に移行できるから事実上不可能はないし．

相変わらず文体が統一できてない疑惑を抱えつつ日記終わり．

そういや，ybbからメールの返事は未だに来てないな.....Hahaha !!


*1
ということもあって最近はクラッシックなんか聴いちゃってるのさ．
音楽の嗜好がスピーカに影響されるというのも妙な話ですが．
ていうか，結局おまえが聴くのは128kbps mp3かよ！